この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
- 合成香料ってなに?
- どんな種類があるの?
こんな風に疑問に思う人は多いと思います。
もし基本を知らないと、説明するときにうまく言えず、相手に伝わらないことがあります。
なぜなら、合成香料は作り方や原料の違いによって3つに分けられ、それぞれ特徴があるからです。
この記事では、合成香料について図解や例を使ってわかりやすく解説します。読むことで頭の中が整理できるだけでなく、人に説明できるようにもなります。合成香料の基本を知りたい人は最後まで読んでください。
合成香料の分類として3つあります。
- 単離香料
- 半合成香料
- 全合成香料

実務では、単離香料という単語は使いますね。
まずは単離香料を見てみましょう。
目次
【図解】単離香料

図1 単離香料
単離香料とは植物や動物由来の原料から、ある1つの有機化合物を取り出した香料です。
単離香料は植物精油から取り出すことが多いです。

単離香料は植物精油から取り出すことが多いです。
植物精油は、200種類以上もの有機化合物が集まってできています。イメージとしては、〇や▽、◇などいろいろな形がひとつひとつの有機化合物を表していて、それらが200種類以上集まっている状態です。
この中から、特定の有機化合物だけを取り出すことを「単離」と言います。例えば、〇の有機化合物だけを取り出すことです。
例としてオレンジから得られる単離香料を見てみましょう。

図2 単離香料 例 d-リモネン
オレンジの場合、まずオレンジの皮からオレンジオイルを取り出します。(=採油する)
さらに、そのオレンジオイルの中から特定の有機化合物を単離させることで、単離香料であるd-リモネンが得られます。
【図解】半合成香料

図3 半合成香料
半合成香料は単離香料を原料として、化学反応を用いて作られる香料です。
イメージとしては、図中の〇から▢へ別の物質に変わります。
半合成香料も単離香料と同じく、単一の有機化合物です。
例えば、d-リモネンを出発原料として見てみましょう。

図4 半合成香料 例 l(エル)-カルボン
d-リモネンを化学反応させることで、l(エル)-カルボンが得られます。

化学反応させると得られる量は元の量より減ります。
d-リモネンよりさかのぼって、オレンジからl-カルボンができるまでの流れを以下に示します。

図5 植物から半合成香料までの流れ
l-カルボンを得るためには、
オレンジ → オレンジオイル → d-リモネン → l-カルボン
というステップを踏む必要があります。
オレンジからl-カルボンまでの流れを知ることで、l-カルボンの生産量が減ったときの原因が分かります。例えば、以下の流れで生産量が減ります。
- オレンジが不作になる
- オレンジオイルの生産量が減る
- d-リモネンの生産量が減る
- l-カルボンの生産量が減る

オレンジが不作になると、オレンジオイル、d-リモネン、l-カルボンの価格は上がります。
原料からの流れを理解しておくと、オレンジの生産量がそのまま最終的なl-カルボンの生産量に影響することが分かります。
【図解】全合成香料

図6 全合成香料
全合成香料は石油から得られる石油化学製品を原料として、化学反応を用いて作られる香料です。
スチレンを出発原料にした場合の例を見てみましょう。

図7 全合成香料 例 β-フェニルエチルアルコール
スチレンを化学反応させることで、β(ベータ)-フェニルエチルアルコールが得られます。
まとめ

図8 合成香料の分類
合成香料の分類は以下の3つです。
| 単離香料 | 植物や動物由来の原料から、ある1つの有機化合物を取り出した香料 |
| 半合成香料 | 単離香料を原料として、化学反応を用いて作られる香料 |
| 全合成香料 | 石油から得られる石油化学製品を原料として、化学反応を用いて作られる香料 |
図解アロマ 