【図解】未経験・文系でも香料業界に入れるオススメ職種9選とスキル11選

こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
「香料業界に興味があるけど、文系だし未経験だから無理かな…」
そう諦めていませんか？

フィグ

大丈夫です！未経験・文系でも入れます！

実は香料業界には、調香師や研究開発だけでなく、営業・マーケティング・経理など多彩な職種があり、文系出身者が活躍できるフィールドは広いです。
実際に香料メーカーの営業職は文系出身が多いです。

この記事では、職種ごとの未経験での入りやすさ、即戦力になれるスキルを解説しています。さらに、香料が作られるまでの業務フローや得意なことと職種の関係までお伝えします。

この記事を読めば、あなたに最適な職種が見つかり、香料業界への具体的なキャリアパスが描けるようになります。

文系・未経験者のオススメ職種9選

• 営業
• マーケティング
• 製造（工場）
• ロジスティクス（在庫・出荷）
• 購買（調達）
• 生産管理
• 品質管理・品質保証
• 経理
• 法務

香料業界と聞くと、「調香師」や「研究開発」といった専門性の高い職種をイメージする方が多いかもしれません。

しかし実際には、いろいろな職種があり、そのうち上記の職種が文系・未経験でも入りやすい職種です。経済学部出身者なら経理職、法学部出身者なら法務職というように、専攻を活かせる職種もあります。

文系・未経験者の入りやすさで分類すると、以下のようになります。

★★★　営業

仕事内容

• 食品・化粧品・日用品メーカーへの香料提案・販売
• 既存顧客のフォローアップと関係構築
• 顧客の商品開発担当者とのニーズヒアリング
• 調香師と顧客をつなぐコーディネート役
• サンプル提供とフィードバックの収集
• 市場トレンドや競合情報の収集・分析
• 見積作成、契約交渉、納期管理
• 展示会やセミナーでの製品プレゼンテーション
• 新規顧客の開拓活動

★★★　マーケティング

仕事内容

• 消費者トレンドの調査・分析（香りや味の嗜好変化）
• 市場調査データの収集と競合分析
• 新製品開発のコンセプト立案
• ターゲット顧客の明確化とペルソナ設計
• プロモーション戦略の企画・実行
• 展示会、セミナー、ウェビナーの企画運営
• ブランディング戦略の立案
• 売上データや顧客フィードバックの分析と施策立案

★★★　製造

仕事内容

• 香料の調合（処方に基づいた原料の計量・混合）
• 製品の充填・包装作業
• 製造設備・機械の操作
• 製造ライン・設備の清掃・メンテナンス
• 製造記録の作成・管理
• 作業手順書に沿った安全作業の徹底
• 設備トラブルへの初期対応
• 品質チェック（工程内検査）
• 5S活動（整理・整頓・清掃・清潔・躾）の推進
• 改善提案（生産効率向上、品質改善、安全性向上）

★★★　ロジスティクス

仕事内容

• 原料・製品の入荷検収と検品
• 配送スケジュールの管理
• 在庫データの管理（在庫管理システムへの入力）
• 倉庫内での保管管理（ロケーション管理、先入れ先出し）
• 出荷指示に基づくピッキング・梱包
• 配送業者との連絡・調整
• 納期管理と遅延防止の対応
• 在庫の棚卸し作業
• 物流コストの分析と削減提案
• 返品・不良品の処理
• 温度・湿度など保管環境の管理

★★★　購買・調達

仕事内容

• 原料・副資材・包装資材の調達
• 発注業務と納期管理
• サプライヤーの選定・評価
• 価格交渉とコスト削減の推進
• 購買契約の締結と管理
• サプライヤーとの関係構築・維持
• 原料市況の調査・分析
• 品質問題発生時のサプライヤーとの折衝
• 新規サプライヤーの開拓
• 海外サプライヤーとの取引（輸入業務）
• 在庫の適正化とリードタイム短縮
• 事業継続計画における調達リスク管理

★★★　生産管理

仕事内容

• 生産計画の立案（月次・週次・日次）
• 受注状況に応じた製造スケジュールの調整
• 原料・資材の所要量計算と発注依頼
• 製造リードタイムの管理と短縮
• 生産進捗の管理とボトルネック解消
• 製造、購買、営業、ロジスティクスとの調整
• 生産能力の分析と設備投資の提案
• 在庫の適正化（過剰在庫・欠品の防止）
• 生産効率の向上施策の立案・実行
• 納期遅延リスクの早期察知と対応
• 生産実績データの集計・分析
• 工場の稼働率向上への取り組み

★★★　品質管理・品質保証

仕事内容

品質管理：

• 原料・製品の品質検査（外観、成分、香調など）
• 各種試験の実施（安定性試験、微生物試験など）
• 分析機器（GC、HPLC、pHメーターなど）の操作
• 検査データの記録・管理
• 不良品の原因調査と対策立案

品質保証:

• 製品規格書の作成・管理
• 品質マネジメントシステムの構築・運用
• 顧客からのクレーム対応と再発防止策の策定
• サプライヤー監査の実施
• 法規制対応（食品衛生法、化粧品・薬機法、化審法など）
• トレーサビリティ管理

★★☆　経理

仕事内容

• 日常経理業務（仕訳入力、経費精算、支払処理）
• 月次決算、四半期決算、年次決算業務
• 予算編成と予算実績管理
• 原価計算（製品別、部門別の原価集計）
• 税務申告業務（法人税、消費税など）
• 監査対応（会計監査、税務調査）
• 経理システムの運用・改善
• 経営陣への財務レポート作成

★★☆　法務

仕事内容

• 各種契約書の作成・レビュー（売買契約、秘密保持契約、ライセンス契約など）
• 契約交渉のサポート
• コンプライアンス管理（法令遵守体制の構築・運用）
• 知的財産権の管理（特許、商標、著作権）
• 訴訟・紛争対応（弁護士との連携）
• 法規制対応（食品衛生法、化粧品・薬機法、化審法など）
• M&A、業務提携時の法務デューデリジェンス
• 海外取引における国際法務対応

★☆☆　調香師

仕事内容

• 顧客の要望に応じた香りや風味の創造・設計
• クライアントへのヒアリングとコンセプトの具体化
• 数百種類の香料素材を組み合わせた試作品の作成
• トレンドや市場ニーズを反映した新香料の開発
• 技術資料や処方の作成・管理

★☆☆　研究開発

仕事内容

• 新規香料素材・技術の研究開発
• 既存香料の改良・最適化
• 天然素材からの香料成分抽出研究
• 合成香料の設計と合成ルート開発
• 香料の安定性試験・安全性評価
• 分析機器（GC-MS、LC-MSなど）を用いた成分分析
• 特許出願や技術論文の執筆
• 大学・研究機関との共同研究

文系・未経験でも即戦力になれるスキル11選

各スキルは、文系の大学生活や社会人経験で身につけられるものばかりです。特別な専門知識がなくても、あなたが既に持っているスキルが香料業界で十分活かせます。

フィグ

どの職種でも社内調整力は必要です

フィグ

ロジスティクス職でも輸出・輸入業務の場合は必要です

フィグ

購買職でも食品衛生法や化審法は関係しています

フィグ

製造現場での経験は生産管理職や購買職に強いです。

ここまで11職種について見てきましたが、「実際にこれらの職種がどのように連携して仕事をしているのか」をイメージしにくいかもしれません。
そこで、具体的な例を通じて、香料業界の業務フローを見ていきましょう。

香料業界の仕事が具体的にイメージできる業務フロー

例：新しい清涼飲料水の香料開発

ある飲料メーカーが「若者向けの新しい柑橘系ドリンク」を開発したいと考えています。この商品に使用する香料を開発・製造・納品するまでの流れを追ってみましょう。

1. 営業がニーズをキャッチ
2. マーケティングがトレンド共有
3. 調香師（フレーバリスト）が香料を設計
4. 営業が香料サンプルを提案
5. 営業がフィードバックを受ける
6. 調香師が香料を再設計
7. 営業が香料サンプルを再提案
8. 営業が採用決定を受ける
9. 品質保証・品質管理が製品規格を設定
10. 購買が原料を手配
11. ロジスティクスが原料を輸入・受入
12. 品質管理が原料を検査
13. 生産管理が製造計画の立案
14. 製造が調合
15. 品質管理が製品を検査
16. ロジスティクスが出荷

ステップ1～4　ニーズキャッチから提案まで

■ステップ1：営業がニーズをキャッチ
飲料メーカーの商品開発担当者から「若者向けの新しい柑橘系ドリンクを開発したい」と相談を受けます。
営業は顧客との最初の接点として、曖昧な要望を具体的な情報に変換していきます。

フィグ

「甘さ」のあるフレーバーを調香師にリクエストしても、「どんな甘さだ！？」と突っ込まれます。

■ステップ2：マーケティングが現在のトレンドを共有
顧客の要望に忠実に応えた香料と、トレンドを取り入れた香料を提案することが可能になります。

■ステップ3：調香師（フレーバリスト）が香料を設計
営業からの情報を受けて、調香師が香料の設計に入ります。
顧客の要望を具体的な香りに変換します。

■ステップ4：営業が香料サンプルを提案
調香師が設計した香料サンプルを顧客へ提案します。

ステップ5～8　フィードバックから採用決定まで

■ステップ5：営業がフィードバックを受ける
営業が顧客からフィードバックを受けて微調整（苦みを少し抑える、爽やかさを強調するなど）の情報を入手します。

■ステップ6：調香師が香料を再設計
営業からの微調整の情報を受けて、調香師は何度も試作を繰り返しながら、理想の香りを追求していきます。

■ステップ7：営業が香料サンプルを再提案
調香師が設計した香料サンプルを顧客へ提案します。

■ステップ8：営業が採用決定を受ける
顧客から採用され、製品化が決まります。

フィグ

前触れもなく急に採用されて、原料の手配がドタバタすることもあります。

ステップ9～12　製品規格の設定から原料検査まで

■ステップ9：品質保証・品質管理が製品規格を設定
品質基準を設定し、製品規格書の作成を行います。

フィグ

研究が品質基準を設定するところもあります。

■ステップ10：購買が原料を手配
製造に必要な原料を調達するため、購買部門が動きます。

• 必要な香料素材（グレープフルーツオイル、レモンオイルなど）の調達先選定
• サプライヤーとの価格交渉
• 納期調整（発売時期に間に合わせるため）

■ステップ11：ロジスティクスが原料を輸入・受入
海外から原料を輸入し、国内の工場に届けます。

• 輸入時の通関業務
• 工場への国内配送手配
• 原料の受入確認

■ステップ12：品質管理が原料を検査
品質管理部門が原料の受入検査を行い、品質に問題ないかを確認します。

ステップ13～16　製造計画の立案から出荷まで

■ステップ13：生産管理が製造計画の立案
原料が揃ったら、いよいよ製造に入ります。
受注数量に基づいた製造計画の立案し、製造ラインのスケジュール調整します。

■ステップ14：製造が調合
処方に基づいた原料の計量・調合し、製品の充填・包装します。

フィグ

製造現場では、安全第一で正確な作業が求められます。

■ステップ15：品質管理が製品を検査
最終製品を検査(規格書に基づく検査)し、合格判定と出荷許可します。

■ステップ16：ロジスティクスが出荷
製造が完了した製品を倉庫で保管し、注文を受けたら顧客に届けます。

すべての職種が連携してひとつの製品を生み出すことが分かります。

香料の専門知識はなくても大丈夫

「香料の知識がないと働けないのでは？」という不安は不要です。
入社後の業務を通じて必要な知識を習得していくことができます。

• 香料の基礎知識
• 食品・化粧品業界の知識
• 安全管理・法規制の知識
• 製造プロセスの理解

これらはすべて入社後に学べます。重要なのは「学ぶ意欲」と「好奇心」です。
実際に、多くの文系出身者が、最初は香料の知識ゼロからスタートし、今では業界のプロフェッショナルとして活躍しています。

多様な職種があるため、自分の適性に合った道を選べます。

香料業界には、人と話すのが好きな人、データ分析が得意な人、コツコツ作業するのが好きな人、交渉が得意な人など、様々なタイプの人材が活躍できる場所があります。

自分の強みや興味に合わせて、最適な職種を選ぶことができます。

まとめ

香料業界には多様な職種があり、未経験・文系でも活躍できます。

下記の9職種が文系・未経験でも入りやすい職種です。
経済学部出身者なら経理職、法学部出身者なら法務職というように、専攻を活かせる職種もあります。

• 営業
• マーケティング
• 製造（工場）
• ロジスティクス（在庫・出荷）
• 購買（調達）
• 生産管理
• 品質管理・品質保証
• 経理
• 法務

香料の専門知識は「学ぶ意欲」と「好奇心」を持って、入社後に学べば大丈夫です。