【図解】ゆずの香り成分 ~構造式 分子模型~ | 図解ブースター

【図解】ゆずの香り成分 ~構造式 分子模型~

【図解】ゆずの香り成分 ~構造式 分子模型~

こんにちは、ピンフです。

香料業界で約10年ほど続けています。

 

ゆずは良い香りのため、

よく料理に使われています。

ゆずらしい香りの正体はどんな成分でしょうか?

 

ゆずの香り成分は75以上あり、

特にゆずらしさに関係する成分を

以下に示します。

(香り成分=有機化合物です。)

  • チモール
  • ペリラアルデヒド
  • リナロール
  • N-メチルアントラニル酸メチル
  • ユズノン

*(1)(2)

ゆずを含めオレンジやレモンなどの

シトラス系オイルにおいては、

80%がリモネンで占められ、

残りの20%で特徴のある香りが決まります。

【図解】香りの比較 オレンジ・レモン・ライム (初心者向け)

 

ゆずの香り成分について、

名前だけでなく形を知ることで、

イメージしやすくなります。

そこで、より詳しく構造式や

分子模型の写真を見ていきましょう。

 

チモール Thymol

一番左の図は簡略された構造式です。

真ん中の図は炭素(C)を表し、

その下には分子模型の写真を示します。

 

分子模型の写真では、

黒色が炭素、赤色が酸素、水色が水素

表しています。

 

さらに、水素(H)を表したのが一番右の図です。

最初の簡略された図と比べますと、

入り組んでいて、分かりにくいですね。

 

化学者(特に有機化学を専門している人)は

一番左の図(構造式)から、

一番右の図を頭の中で変換できるようです。

 

分子は立体的ですので、

回転できる部分があります。

分子模型で回転させてみましょう。

どちらの分子模型もチモールです。

簡略された構造式は

スッキリと表されていることが分かります。

 

ペリラアルデヒド Perillaldehyde

左の図は簡略された構造式です。

真ん中の図は炭素(C)を表し、

右の図はさらに水素(H)を表しています。

 

分子模型の写真では、

黒色が炭素、赤色が酸素、水色が水素

表しています。

六角形の部分がチモールと比べて

いびつに見えますね。

これは炭素と炭素の結合の仕方が

違うためです。

 

ただ、簡略された構造式では

正六角形で表されます。

 

リナロール Linalool

左の図は簡略された構造式です。

真ん中の図は炭素(C)を表し、

右の図はさらに水素(H)を表しています。

 

2種類のリナロール

リナロールには2種類あります。

  • -リナロール(ラベンダー様の香り)
  • -リナロール(プチグレン様の香り)

2種類のリナロールの違いは

赤丸の炭素(不斉炭素)において、

どちらに向きに結合するかによって、

生じています。

 

黒く塗りつぶした三角は

手前側に飛び出ていて、

破線の三角は奥側にあることを意味します。

分子模型で見ると、酸素(赤色)が

-リナロールでは手前にあり、

-リナロールでは奥側にあることが

分かりやすいです。

 

さらに、

水素を追加すると以下のようになります。

 

d -リナロールとl -リナロールを

左右で比較してみましょう。

ほんのちょっとの違いで、

香りに差が生じています。

他の例として、

リモネンやメントールがあります。

 

N-メチルアントラニル酸メチル Methyl N-Methylanthranilate

左の図は簡略された構造式です。

真ん中の図は炭素(C)を表し、

右の図はさらに水素(H)を表しています。

 

ユズノン Yuzunone

ユズノンは直線状の分子です。

(直鎖構造といいます)

以下のように回転させると、

より分かりやすくなります。

 

まとめ

  • チモール
  • ペリラアルデヒド
  • リナロール
  • N-メチルアントラニル酸メチル
  • ユズノン

ゆずらしさを表す香り成分です。

 

以下の記事では

産地やオイルの入手方法を知ることができ、

ゆずについて一目置かれるようになります。

【図解】ゆずオイル ~産地・生産量 精油ができるまで~

 

<参考文献>
(1) 長谷川香料株式会社『香料の科学』講談社 (2013)
(2) 日本香料協会『香りの百科』朝倉書店 (1989)
(3) 川口健夫訳『精油の化学』フラグランスジャーナル社 (2013)
(4) 日本化学会編『香料の科学』大日本図書 (1983)

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