【図解】ゆずの香り成分 ~構造式 分子模型~ | 図解アロマ
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【図解】ゆずの香り成分 ~構造式 分子模型~

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こんにちは、化学系の大学院を卒業し、香料業界で10年以上働いているフィグです。

ゆずは良い香りのため、よく料理に使われています。

ゆずらしい香りの正体はどんな成分でしょうか?

ゆずの香り成分は75以上あり、特にゆずらしさに関係する成分は以下です。(香り成分=有機化合物です。)

・チモール
・ペリラアルデヒド
・リナロール
・N-メチルアントラニル酸メチル
・ユズノン

ゆずオイルにはリモネンが約60%含まれており、残り約40%の香り成分でゆずらしい香りになります。(オレンジオイルやレモンオイルには、リモネンが約80%を占めています)

リモネン以外の香り成分が、香りに大きな影響を与えています。

ゆずの香り成分について、名前だけでなく形を知ることで、イメージしやすくなります。

より詳しく構造式や分子模型の写真を見てみましょう。

1.チモール Thymol

左の図  :簡略された構造式
真ん中の図:炭素(C)を表した構造式
右の図  :炭素(C)と水素(H)を表した構造式

構造式の下には分子模型の写真です。各ブロックの色は以下の元素を示しています。

黒色:炭素
赤色:酸素
水色:水素

右の構造式は炭素(C)と水素(H)が表されており、最初の簡略された左の構造式と比べて、入り組んでいて、分かりにくいですね。

フィグ
フィグ

化学者(特に有機化学を専門している人)は頭の中で左の図(構造式)から、右の図に変換できるようです。

分子は立体的ですので、回転できる部分があります。分子模型で回転させてみましょう。

どちらの分子模型もチモールです。簡略された構造式は分子の状態の一瞬を切り取ったにすぎません。

2.ペリラアルデヒド Perillaldehyde

左の図  :簡略された構造式
真ん中の図:炭素(C)を表した構造式
右の図  :炭素(C)と水素(H)を表した構造式

分子模型の色と元素の関係を以下に表します。

黒色:炭素
赤色:酸素
水色:水素

ぺリラアルデヒドの構造式中の六角形の部分と、チモールの六角形は、構造式では同じ正六角形で表示されます。しかし、分子模型の写真で比べると、ぺリラアルデヒドの六角形の方がいびつに見えます。これは炭素と炭素の結合の仕方が違うためです。

フィグ
フィグ

紙の上に書いた構造式と、実際の分子の形には差があるということです。

3.リナロール Linalool

左の図  :簡略された構造式
真ん中の図:炭素(C)を表した構造式
右の図  :炭素(C)と水素(H)を表した構造式

リナロールには2種類あります。 

2種類のリナロール

  • d -リナロール(ラベンダー様の香り)
  • l -リナロール(プチグレン様の香り)

d -リナロール(ディーリナロール)とl -リナロール(エルリナロール)と読みます。

構造式の違いを見てみましょう。

2種類のリナロールの違いは赤丸の炭素(不斉炭素)において、どちら向きに結合するかによって、生じています。

黒く塗りつぶした三角は手前側に飛び出ていて、破線の三角は奥側にあることを意味します。

分子模型で見ると、酸素(赤色)がd -リナロールでは手前にあり、l -リナロールでは奥側にあることが分かります。

さらに、水素を追加した場合の構造式と分子模型を見てみましょう。

フィグ
フィグ

構造式も分子模型もごちゃごちゃしていますね

-リナロールとl -リナロールを左右で比較してみましょう。

-リナロールとl -リナロールは似ているように見えます。ほんのちょっとの違いで、香りに差が生じています。

フィグ
フィグ

他でよく聞くのが、d-リモネンとl-リモネン、l-メントールですね。

4.N-メチルアントラニル酸メチル Methyl N-Methylanthranilate

左の図  :簡略された構造式
真ん中の図:炭素(C)を表した構造式
右の図  :炭素(C)と水素(H)を表した構造式

フィグ
フィグ

リナロールと比べて、すっきりした分子ですね。

5.ユズノン Yuzunone

ユズノンはゆずのフレッシュな果皮感に影響を与える成分です。構造式としては直線状の分子です。(直鎖構造と言います)

以下のように回転させると、直線状であることがより分かりやすくなります。

6.まとめ

ゆずらしさに関係する成分は以下です。

・チモール
・ペリラアルデヒド
・リナロール
・N-メチルアントラニル酸メチル
・ユズノン

↓ゆずについて産地や生産量について知る↓

<参考文献>
(1) 長谷川香料株式会社『香料の科学』講談社 (2013)
(2) 日本香料協会『香りの百科』朝倉書店 (1989)
(3) 川口健夫訳『精油の化学』フラグランスジャーナル社 (2013)
(4) 日本化学会編『香料の科学』大日本図書 (1983)

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