【図解】ゆずオイル ~産地・生産量 精油ができるまで~
こんにちは、ピンフです。
香料業界で約10年ほど続けています。
ゆずは海外からも興味を持たれる香りを持ち、
日本の特徴的な柑橘であります。
さて、ゆずオイルはどうやって得られるのでしょうか?
以下の点を知ることで、
ゆずオイルが得られるまでの流れだけでなく、
ゆずに対する知識がグッと深くなります。
- 収穫時期
- 生産量
- 産地
- オイルの入手(採油)方法
特に採油方法については、
少し専門的になりますので、
知っているとかなり一目置かれると思います。
概要
学名 | Citrus junos |
収穫時期 | 10~12月 |
生産量 | 約20,000t (2017) |
うち加工向け | 約15,000t (2017) |
産地 | 高知、徳島、愛媛、宮崎、鹿児島 |
採油部分 | 果皮 |
採油方法 | 圧搾、溶剤抽出、水蒸気蒸留 |
収穫時期
図1 収穫時期
開花が5~6月に、青ゆずは7~10月になり、
収穫は10~12月です。
冬至にゆず湯に入る風習がありますので、
収穫時期が10~12月というのは
覚えやすいと思います。
ゆずオイルを得る方法のひとつに
溶剤抽出があります。
抽出には皮の部分(果皮)を使用しており、
生の状態の果皮(生果皮)を使用した抽出は
11~12月に行われます。
その期間に処理しきれなかった果皮を
冷凍することでいつでも抽出できます。
生産量
図2 国内生産量の推移
出典 農林水産省統計
生産量:収穫したもののうち、生食用又は加工用として流通する基準を満たすものの重量
生産量は2003年から2008年にかけて増加し、
その後20,000~25,000 tあたりで
推移しています。
生産量のうち加工向け(加工用)の推移も、
生産量と同じような推移をしています。
また、生産量のうち約70%が
加工用に使用されています。
産地
図3 産地と生産量割合(2017年)
出典 農林水産省統計
高知が約50%を占めており、
徳島と愛媛が約12%です。
産地の場所とその割合を分かりやすくした図を
以下に示します。
図4 主な産地と生産量割合(2017年)
出典 農林水産省統計
産地は主に西日本にあり、
四国と九州南部であることが分かります。
採油部分
図5 柑橘の部分名
柑橘の果実を大まかに2つの
果肉部と果皮部に分けられます。
果肉部には果汁やフサや種が含まれます。
果皮部には以下の2つがあります。
・アルベド(皮の内側の白い部分)
・フラベド(皮の外側の黄色い部分)
油胞にオイルがありますので、
フラベド部分からオイルを採油します。
収穫された果実から
採油に使われる果皮の流れを見てみましょう。
図6 ゆず果実 用途
ゆずは青果用と加工用に分けられます。
2017年において加工用は75%でしたので、
100kgの果実があれば、
25kgが青果用に、75kgが加工用に使われます。
加工用の果皮部からオイルが得られますので、
青果用からはオイルは得られません。
つまり、生産量のうち
75%の加工用からしかオイルは得られません。
果実の内訳を見てみましょう。
図7 ゆず果実 構成の割合
ゆずの場合、100kgの果実から、
19kgの果汁が取れます。
ゆずオイルを採油するのに
使われる果皮部はフラベドと油胞です。
(アルベドは取り除きます)
ゆずオイルはゆず果汁の副産物といえます。
採油方法
- 圧搾
- 溶剤抽出
- 水蒸気蒸留
ここでは溶剤抽出を解説します。
図8 ゆず 溶剤抽出の流れ
- 搾汁により、果皮部に分けます。
- スライサーによりアルベドを取り除きます。
- 果皮を粉砕し、溶剤(ヘキサン)を加え抽出します。
- 抽出粕を取り除き、脱ロウします。
- 溶剤を除去し、ゆずオイルを得ます。
搾汁の様子は以下の動画が参考になります。
キャタピラー式搾汁機による搾汁です。
参考 キャタピラー式柑橘搾汁機フードバレーアグリビジネスセンター
溶剤抽出について参考記事はこちらです。

まとめ
学名 | Citrus junos |
収穫時期 | 10~12月 |
生産量 | 約20,000t (2017) |
うち加工向け | 約15,000t (2017) |
産地 | 高知、徳島、愛媛、宮崎、鹿児島 |
採油部分 | 果皮 |
採油方法 | 圧搾、溶剤抽出、水蒸気蒸留 |
- 生産量のうち約70%が加工用に使用されます。
- ゆずオイルは加工用からしか得られません。
- ゆずオイルはゆず果汁の副産物です。
- 果皮部(フラベドと油胞)から抽出します。
以下の記事では
ゆずの香り成分について、
より深く知ることができ、
さらに一目置かれます。
